EPISODE-1


~ターゲットはアルカディア~

ズグダ連とNESS、パワーストーン。アルカディオンの物語はここから始まる!

西暦20××年某日。地球から遥か彼方にある「メンドク星」から地球に向けて一機の宇宙船が飛び立った。侵略部隊「ズグダ連」(ズグダレン・ズグダ連合軍)である。目的地は日本の山形県南陽市。東洋の理想郷=アルカディアと呼ばれる南陽市を支配しようと目論んでいる。その情報をつかんだ宇宙警備隊「SSF」(エスエスエフ・Space Security Forces)はすぐさまズグダ連を追った。

北に丘陵、南に沃野、自然豊かな「菊とぶどうといで湯の里」南陽市にズグダ連の宇宙船が降り立った。過疎化が進み、地域や人々に活気がなくなりかけている今の状況が、侵略を狙う「ズグダ連」にとって正に好都合なのだ。

ズグダ連は地下に基地を建設し、「南陽市民ずぐだれ化計画(※1)」を実行に移すため、人工寄生虫ジコの量産を始めた。ジコ虫に寄生されるとやる気をなくしてしまい、ずぐだれになってしまうのだ。このままでは益々活気が失われ、まちは支配されてしまう。

遅れてやってきたSSFだったが、彼らは宇宙条約によって惑星内での活動に制限がかけられているため、地球での露骨な捜査活動や武力行使を行うことが許されていない。SSFは変身装置「チェンジャーシステム(CS)」で猫や犬等の小動物に姿をかえ、南陽市と接触を図り、協力を申し出た。

事態を重くみた市は、南陽市緊急事態保安組織「NESS(ネス)」(Nanyo Emergency Security Systems)を設立する。市内のおしゃれカフェ「EKUBO」の地下に司令室を設けし、特命をうけた嶋貫係長が司令官として配属された。普段はカフェのマスターとしてカモフラージュしながらズグダ連の動向を探ることになる。しかし、ズグダ連と戦うことになれば力の差は歴然であった。そこでSSFは自分たちのCS技術を南陽市民に流用することを思いついた。CSには変身機能だけではなく特殊能力を与える機能も兼ね備えられている。これを使えれば、ズグダ連と対等に渡り合うことができると考えたのだ。

ここで問題となるのがCSの核となる「パワーストーン」の存在だった。パワーストーンは特殊な力を秘めた石で、それがないとCSとして機能しない。しかしSSFには余分な持ち合わせがなく、新たに作りだすには長い歳月を要するという。ここでSSF隊員の一人サレルーは、「数十年前、ズグダ連の南陽市侵略を予測していたSSFが来るべき時に備えて市内に数個のパワーストーンを隠した」という話を思いだす。サレルーはSSF本部の情報を下に市内を巡り、5つのパワーストーンを見つけだした。そしてSSF隊員らは、南陽市科学研究センターの有賀(ありが)等(ひとし)博士にCS技術を伝え、5つのCSを製作したのである。

SSF隊員と有賀博士は、このCSにある制限を加えた。それは「故郷・南陽市を愛し、何事にも動じない正義の心を持つ20代の青年にしか反応しない」といったものである。この思いを持たない者が特殊能力を得てしまうとその力を悪用する恐れがあり、また若い力には無限の可能性があり、若者にこそまちを救って欲しいという願いからだった。

専用CSの完成を受け、サレルー以外のSSF隊員は一旦本部へと引き返すことになった。そしてサレルーは嶋貫司令官、有賀博士と共にCS適合者を探し出す任務へと当たったのである。

※1:「ずぐだれ」=置賜地方の方言で「だらしない、なまけもの」の意味。